エムベアレス 終章.エピローグ

幕が閉じた後、結衣はお尻を濡れタオルで冷やして貰い、手当を受けた。
その後、涙でボロボロになったメイクを落として貰う。

「今日はご苦労様。なかなか良かったよ。」
「はい、これは約束の100万円。」

と、堀越から労いの言葉と共に封筒を渡された。

封筒の中を覗いて見ると、帯封が付いたままの札束が見えた。
結衣は、恥ずかしくて堀越の顔を見られずにいたが、急に嬉しさが込み上げてきて顔を上げる。

(すっごく恥ずかしい仕事だったけど・・)
(なんだろう?・・この達成感は・・)

結衣は、しばし感慨に耽った後、我に返ったように慌てて、「あ、ありがとうございます・・」と、言い忘れていた礼を述べた。

嬉しそうに頭を下げる結衣を、堀越はイタズラっぽい目で見つめながら問いかけた。

「ところで・・」
「そろそろ、本当の名前を教えてくれる?」
「いや、別に身元を詮索しようって言うんじゃない。」

「ただ、僕らはもう、信頼関係で結ばれた仲間だと思うんだ。」
「だから、偽りの名前でなく、本名で呼びたいんだよ。」

そう、堀越から問われた結衣は、躊躇無く答えた。

「結衣です。」
「名前の結衣だけは本名です。」
「後は、嘘を吐いていました。」
「ごめんなさい。」

そう言って、再び頭を下げる結衣の肩を、堀越は両手で押し戻して頭を上げさせると、満面の笑みをたたえながら語りかけた。

「ようこそ、”秘密倶楽部・エムベアレス”へ。」
「君を、我が倶楽部の一員として認めます。結衣ちゃん。」

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