第22章 大樹のおしおき

第22章 大樹のおしおき

また今度は杉崎が言葉を引き継ぐ。
「それに、いかなる理由があるにせよ掃除をさぼって土足で中庭に出て、おまけに男の子の着衣を脱がし、暴力をふるって良いという言い訳にはなりません。」
 
「見なさい、大樹君を。」
「シャツは泥だらけだし、膝も擦りむいているじゃない。」

「これはお仕置きなどではなく、ただ、自分の怒りをぶつけただけの単なる暴力です。」

「しかも、あなたは特別反省中ですよ。」
「一層、身を慎んでいなければいけない時なのに。」

「大樹君も悪い子ですよ。掃除をさぼって・・」
「それに女の子のパンツを盗ったりしたら駄目じゃないの。」

と杉崎は2人を交互に見ながら叱った。

由香里と大樹は項垂れながら裁判長の判決を待つ被告のようであった。
そんな2人をみつめながら、杉崎は判決を下す。

「2人とも覚悟はできてるわね。」
「罰としてお尻ぺんぺんです。」

”お尻ぺんぺん”という言葉を聞いて、教室で事の成り行きを見守っていた子供達の間に奇妙な緊張が走った。

一つには、子供達にとってお尻ぺんぺんのお仕置きは人ごとではなかったからである。
自分たちもされてきたし、またこれからいつされるかも分からない。

だが、悪童の大樹がお仕置きされるのは痛快であったし、また大人の由香里が自分たちと同じようにお尻ぺんぺんされるのか?という好奇心もあった。

それ故、恐怖と好奇心とある種の期待感とが入り混じった奇妙な興奮を巻き起こしていたのである。

そんな子供達の興奮を他所に、当の由香里は恐れていた最悪の宣告を受け、顔を青ざめさせてショックの色を隠せない。

(そんな・・・)
(私が本当は大人だってわかっているくせに・・)
(なんで、子供みたいな罰を受けなければいけないの?)

(それもこんなに大勢の人がいるし・・)
(男の人もいるし・・)
(それに・・恵理がいる前で・・)

(信じられない・・)
(これは・・あってはいけない世界だわ・・)

とこれから自分の身に起こる出来事を想像し、羞恥と屈辱感とに苛まれていた。

杉崎は、窓際の教師用机にある椅子を教室の真ん中に持ってきて刑場をしつらえる。

子供達の机は掃除の為に後ろにどかしたままとなっていて、教室には広々としたスペースが空いていた。

その廻りを子供達が囲み、大山と恵理も靴を脱いで教室に上がってきた。

そして杉崎は明るい口調で刑の執行を宣言した。

「さあ、最初は大樹君から。」

「大樹君は今日1日悪い子だったから、本当はたくさんお尻ぺんぺんしなければいけないけど、さっき由香里ちゃんからいっぱい叩かれたから、お尻ぺんぺん10回だけで許してあげます。さあ、いらっしゃい。」

と杉崎は椅子に腰掛けると、自分の膝をポンと叩いて大樹に膝の上に来るよう促した。

大樹はお仕置きされるのは馴れている筈であったが、さすがにこれだけ大勢の目の前でお尻を叩かれるのは恥ずかしいのか、不服そうな顔して立ったまま動こうとしない。

「さあ、早くしないと教頭先生にお仕置きして貰うわよ。」
と杉崎が脅すと、ようやく大樹はおずおずと杉崎の許へと歩み寄った。

杉崎は大樹を自分の膝の上に腹這いにさせてお尻を突き出させると慎重に大樹のズボンを脱がせた。
パンツは下ろさずにズボンだけを脱がせる。

「じゃあ、お尻を10回叩くから。」
「叩かれたら、ちゃんと数を数えて”ごめんなさい”と言うのよ。」

と言うと杉崎は「はい1回」と言いながら大樹のお尻を叩いた。

汗でぴったりとパンツが大樹のお尻に貼りついていて”ピシャン”と良い音がした。
それ程、強い叩き方ではなかったが痛そうな音である。

だが、大樹は「イチ。ごめんなさい。」とさほど痛くはなさそうな声で答えた。
大樹はてっきり、パンツも脱がされて叩かれると覚悟していたので幾分余裕が出てきたのである。

杉崎は次もピシャンと良い音を出す。
大樹も「に。ごめんなさい。」とくぐもった声だがまだ余裕はある。

ちなみに五稜学院では初等科のお仕置きの時は「ごめんなさい」と謝罪の言葉を言わせ、中等部以上では「ありがとうございます」と感謝の言葉を言わせる事になっている。

これは、初等科では子供達がまだ善悪の概念を理解していないので、何が悪い事かを分からせる為に謝罪の言葉を言わせているのである。

杉崎は大樹の余裕のある声に不満を感じたのであろう。
3回目は明らかに前2回と違って強く、”ピシャーン”と叩いた。

大樹も思わず、「いてえっ」と叫んでお尻を捩る。

杉崎の「数を数えなさい。」という言葉にようやく、「さん、ごめんなさい。」と答えた。
だが、声には先ほどまであった幾ばくかの元気さは消えていた。

杉崎は大樹の反応に満足したのか、同じような強さで大樹のお尻のほっぺを交互に叩いていく。

大樹の声からは余裕というものが全く消え、苦痛に喘ぎ、次第に涙声になっていった。

だが杉崎は、「ほら、男の子でしょ。泣いていたら女の子に笑われるわよ。」と叱咤し、全く手加減をしないまま叩き続けた。

そして、「はい、最後の1回よ。じゅう」と言って大樹のお尻の真ん中を強く叩いて大樹への刑の執行を終えた。

大樹は幼いながらもプライドがあるのであろう。
泣くのを堪えて最後までおしおきに耐え、数を数え続けた。
そして杉崎の膝から降ろされると素早く涙を拭き、顔を伏せてクラスの視線から逃れようとした。

「じゃあ、そこにお尻を出したまま、先生がいいと言うまで立っていなさい。」
と杉崎はズボンが足首に絡まったままの大樹を教壇の上に連れていくと、黒板に向かって大樹を立たせる。

そして今度は大樹の下着も膝まで下ろし、大樹のお尻を剥き出しにしてしまった。

大樹の真っ赤なになったお尻がみんなの前に曝され、女の子の間からは、「いや~」と拒絶しているのか喜んでいるのか分からないような嬌声が上がる。

後ろを向いている大樹の表情は分からないが、恥ずかしさと悔しさとでいたたまれない気持ちであろう。

だが、由香里にとって今の大樹の姿は、やがて訪れる己の姿でもあった。

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